最近、果しなき流れの果に(果てしなき流れの果てに)という小説を読んだので、そのことについていろいろ書いていきます。
以下、今回の内容です。
- そもそも、果しなき流れの果にとは?
- 各章ごとのあらすじや概要(ネタバレあり)と、その感想
単なるあらすじだけでなく、読んでいる時の正直な感想もそのままに書いています。
少々難しいところもある作品なので、読んでみる前にどんなものか確かめたいという場合にもピッタリの記事ですよ。
それでは、さっそく本題に移りましょう!
そもそも、「果しなき流れの果に」とは?
「果しなき流れの果に」は、日本の小説家「小松左京」氏によって書かれた長編SF小説になります。
もともとは「S-Fマガジン」という雑誌で1965年2月号から11月号まで連載されていた作品ですが、のちに単行本としても出版されました。
「砂が永遠に落ち続ける奇妙な砂時計から始まり、時空を超えた壮大な戦いが待ち受けている」というような紹介文に惹かれて私は読みました。
「果しなき流れの果に」あらすじや概要(ネタバレあり)と、その感想
以下、プロローグからエピローグまでを各章ごとに要約して、個人的な感想も含めて紹介していきますね。
プロローグ
火山が噴火するなかでの恐竜同士の戦いが書かれていきます。
しかし、恐竜の時代にあるはずもない金色の電話が鳴っているところで話は終わりました。
気になる謎はよかったが、少し読みづらかった
なぜ恐竜の時代に電話があるのか、という謎ですね。
短いながらも、気になる謎を残して終わったプロローグでした。
ただ、個人的に読みづらかったのが少し気にはなりました。
- ちょっとわかりにくく、さらに冗長な情景描写
- ひらがなや読点(「、」のことです)の多さ
まず、自然や恐竜の描写はわかりにくく長いという印象を受けました。
プロローグは短いはずなのに、読むスピードが遅かった気がします。
あと、ひらがなとか読点の多さが気になりましたね。
半世紀ほど前の作品だからかわかりませんが、漢字の使い方を含めて違和感を覚えたところもありました。
第一章 象徴的事件
場面は現代日本っぽいところに移ります。
研究所助手である野々村(議員の人じゃないです)は、大泉教授の友人である番匠谷教授を通じて、砂がいつまでも落ち続ける奇妙な砂時計を見せられます。
持ってきた番匠谷教授は、白亜紀の地層から見つかったものだと説明しました。
その後、野々村や教授は関西へと飛行機で向かうのですが、例の砂時計のことをクロニアムと呼ぶ青年に空港で声をかけられます。
彼を見失ったあと、砂時計の発見者である番匠谷教授に尋ねるも、クロニアムという名前は知らないようでした。
別の誰かに話してもいないと言います。
それから、山の中にある(これだけでも普通ではないらしい)古墳へと向かうのですが、空港で声をかけられた青年を途中で見かけたりもします。
- 古墳には羨道(内部への通路のことです)が2つあって一般的ではなかったり
- しかも2つ目のは山へと向かっていたり
- 岩壁にはピストルらしきものが埋まっていたような痕跡があったり
と、いろいろ奇妙なところがある古墳のようでした。
謎が深まるのは興味深かったが、少々地味に感じてしまった
恐竜の時代に電話があったプロローグに続き、砂が落ち続ける砂時計という奇妙なものが登場するのは面白かったです。
ただ、全体を通してみるとあまり楽しめませんでした。
話が長いわりに結局は砂時計と古墳だけ、というような印象を受けたんですよね・・・。
プロローグに引き続き読みづらいのもあって、長ったらしく感じてしまいました。
第二章 現実的結末
ホテルの部屋に戻ってきた野々村は、佐世子(野々村と親しい女性)が来ていることに驚きます。
それから会話などを交わして休んだのちに、野々村は突然意識が宇宙まで広がっていくような体験をするのでした。
なんとか戻ってこられたのですが、その後、大泉教授が脳溢血で倒れたという電話が入ります。
さらに、野々村がタクシー乗車中に奇妙な失踪、番匠谷教授が古墳内で何者かに頭部を殴られ重傷、といった一連の出来事が起こりました。
また、砂時計のことを知る外国人が人類誕生よりはるか以前の地層からタイルやネジといったものが出てきている話をするのですが、帰りの飛行機着陸後に行方不明となってしまいます。
これまでの不可思議な事実同士が結びつきそうで結びつかないのが面白かった
不可思議な事実というのは、大昔の地層からありえないものが見つかったり、砂時計を知る者の身に起きた失踪事件とかですね。
あと、番匠谷教授のケガについて、殴られたのでなく超音波などの振動による組織破壊だと自身の見解を話す医師がいたりとか、いい感じに謎が増えて先が気になりました。
時間の流れに関して異常とか起こっていそうという予想はなんとなく立てられましたが、砂時計を知る人を消していった犯人の正体や目的などについてはよくわかりませんでした。
宇宙に意識が広がるシーンは抽象的すぎてよくわからない&難しかった
上で書いたように宇宙に意識が広がるシーンがあるのですが、ここは難しいというか抽象的すぎてよくわかりませんでした。
流し読みでいいだろうと流し読みしましたけど・・・まあ、難しかったですね。
あらためて、節々で抽象的だったり難しかったりする話を突っ込んでくる作品だなと思いました。
エピローグ(その2)
(その2で合っていますよ)
エピローグ(その2)では、失踪した野々村と親しかった佐世子のその後について主に書かれていました。
一連の事件のあと、関西に移り住んだ彼女は教師になります。
それから月日が流れていく描写があるのですが、途中、
佐世子の伯父が奇妙な古墳の最初の発見者だったことや、しかも失踪していたこと
第二の羨道は、のちの調査では見つけられなかったこと
意識不明のまま、番匠谷教授は3年目で亡くなったこと
などが記されていました。
その後も数十年の時が流れる描写がされ、最後に佐世子は亡くなります。
昔から見た未来の描写が面白かった
佐世子の墓石には西暦2018年と刻まれるのですが、それ以前にアメリカに3時間半で行けるジェット機があるとか書かれていて面白かったです。
日本が月に探検隊を送ったとかもありました。
見るべきところが違うかもしれませんけど、レトロフューチャー(過去の人が思い描いた未来像)って現実と比べられて面白いですよね。
第三章 事件の始まり
第三章は、誰かわからない人の視点で始まります。
暗闇の中、自分自身だと名乗る者から声がかけられ、任務とやらを思い出すよう言われます。
その後、
- 時空間は曲がっていて閉じられているとか
- それゆえに始まりと終わりはつながるとか
- 一方で、認識や意識は時空間を越えていくとか
なにやら意味深な会話がされていました。
それから暗闇を抜けて目が覚めると、ムッシュウ・Mというよくわからない人が、これまたよくわからない人とよくわからないやり取りをしていきます。
しかし、電磁エレベーターとか宇宙空間に移動するとかで、未来の話なんだなと察しがつきました。
その後も人工衛星とおぼしき場所でよくわからないやり取りが続くのですが、途中、会話相手の人物から「未来からの干渉」というワードが出てきます。
その干渉には2つのパターンがあるようで、
- 1つが、古い地層から奇妙なものが見つかったりするように、何かを訴えているというもの
- もう1つが、その訴えなどをさまたげようとするもの
といった話がありました。
しかし、上の話についてムッシュウ・Mはなぜか知っているようでした。
何かを探し求めている様子のムッシュウ・Mは、その後に移動した倉庫で、電源が入っていないのにもかかわらずボンヤリと男の顔が映し出されるテレビに出会います。
- そのテレビは約300年前、東洋のとある病院の病室内に置かれていたこと
- 声は聞こえないものの、画面の男は意識をテレビに移したとか言っている
と、ややスピリチュアル的なことまで会話形式で書かれていました。
それから、テレビの男の正体が番匠谷教授だと語られるのですが、彼の名前を聞いた直後、ムッシュウ・Mは未来の?銃でテレビを破壊してしまいます。
その後、倉庫のあった人工衛星までもが爆発しました。
のちの調査として、爆発現象自体が奇妙なものだったこと、そしてムッシュウ・Mは一週間後になぜか地球で死体として発見されたことなどがわかりました。
急展開&よくわからない部分も多かったが、全体的に面白くなってきた
最初から最後まで、誰が何について話しているのかわからない会話が結構ありました。
それでも、舞台が未来に移ったり、新たな謎ができたりと、今までの話よりもかなり面白かったです。
最初、ムッシュウ・Mは記憶を失ったりした野々村だと思ったんですけど、読んだ後は多分違うだろうなと思いました。
「任務」については、おそらく未来からの干渉の2つ目(邪魔する側)に関係していそうですよね?
ちょっとスピリチュアル感が強めでしたけど、テレビの男が番匠谷教授だとわかった時には「おおっ!」ってなりましたw
今思えば、彼が意識不明ってところも重要なポイントだったんですかね・・・。
第三章は先が気になる要素盛りだくさんということもあって、(プロローグ・エピローグ含め、)個人的にはここまでで一番面白い章でした。
第四章 審判者
再び場面が変わり、ムッシュウ・Mだったであろう人物の精神?と部長なる人物とが、存在といった抽象的な概念について会話をします。
その後さらに場面は変わって、21世紀なかばの火星に移りました。(第三章よりも前の時代ということですかね?)
ただ、太陽の異常活動によって人類の危機に瀕しているという、これまた急展開な話です。
どうにかして生き残ろうと頑張っていたところ、危機を目前にして、上空に無数の円盤が出現します。
その後、長身の宇宙人と対話するというよくわからない展開になるのですが、そのなかで、
- 人類の想定や対策を超えた危機であること
- 宇宙人が救いの手を差し伸べてくれること
などが伝えられます。
人類側に困惑はあるのですが、最終的には宇宙人の話を受け入れることを決めました。
そして、宇宙人の円盤で火星から脱します。
正直、急展開すぎてついていけなかった
第三章でもぶっ飛んでいましたが、第四章はそれ以上にぶっ飛んでいませんか・・・?
第三章は第四章より未来のはずなのに無事な地球の描写があったので、第四章はこれまでと違う世界、パラレルワールドとかを書いているんじゃないかと思いました。(宇宙人に対しての反応とかちょっと違和感あって)
個人的には、とにかくいろいろ引っかかる部分がありましたね。
それでも、
- 宇宙人の本当の目的とか
- 今までの話とどう結びつけてくるのかとか
- あと、未来である第三章で地球が普通に描写されていた謎とか
先が気になる章だったのには変わりありませんでした。
第五章 選別
第五章では、第四章で登場した宇宙人の円盤によって地球を脱出した人々の、その後の様子が書かれていきます。
それから「超空間」なるところをしばらく進んでいた時、突然ひとりの男が叫ぶのですが、彼いわくもう1年近くも同じ生活だと言うのです。
おのおの時計まで見せ合ってお互いに違うと言い合う混乱が起きるも、普通の時空とは異なる超空間ということでいったんその場は収まりました。
その後は雑談の様子が少し書かれていたのですが、個人的には、
「ダム工事をする地域の野生動物たちを別の場所へと移動させてあげたつもりが、動物たちは人間の善意がわからずおびえた」
という話が、宇宙人に助けてもらっている現状の人類のことを含めて言っているのかなと感じましたね。
雑談パートのあとは、第四章の冒頭で部長なる存在と話し、第三章に登場したムッシュウ・Mの精神体だった?アイという存在が再登場します。
- 選ばれし者について考えたり
- 宇宙人の円盤からなぜか無事なニューヨークにワープ?したり
- ワープ先にいたサムという同僚(おそらく宇宙人?)との会話で、野々村を探していることをほのめかしたり
- 再びワープしたように円盤に戻ったり
と、かなりめちゃくちゃやっていました。(私が読み取れていない部分もあるかもしれないです・・・)
それから円盤内の松浦という人の視点に移り、少しすると超空間を抜けるのですが、出発時には無数にあったはずのほかの円盤が2つしか見えませんでした。
今度は別の円盤のリックという人物の視点に移ると、着陸するとだけ宇宙人に伝えられ、しぶしぶ宇宙服の準備を始める人々の様子が書かれていきます。
しかし、その途中で眠るように意識を失ってしまいました。
目覚めた時には宇宙人に置き去りにされたような状況で、着いた先は砂漠のようでした。
途方に暮れながらも周囲の状況を調べるのですが、気温や大気などが信じられないほど地球と酷似していることが判明します。
宇宙服を脱いでもなんともなく、さらに動植物の様子や超空間内でのおかしな時間の流れなども考慮した結果、過去の地球なのではないかという推測も出てきました。
そこから、森を見つけたり、槍を発見したりするのですが、最後は巨大なサルのようなものに襲われてしまいます。
ちょっとベタな展開がありつつも面白かった
過去の人類っぽい存在が出てきたところですね。
突然襲われているため戦う未来しか見えませんが・・・とにかく、どうなるのか気になる終わり方でした。
あと、またまた謎が増えていったのもワクワクさせられました。
新たな謎ばかりで先が気になった
ザックリと、
- 超空間の詳細
- 選ばれし者とは?
- アイ関連について(正体とか、目的とか、ワープ?技術とか、同僚がニューヨークにいたこととか)
- 地球と似た惑星と、襲ってきた巨大サルの正体
などなどですね。
ここまで読んでみて、アイは第三章で出てきたさまたげる側の存在っぽいなとなんとなく感じました。
ワープらしき方法で円盤内を行き来していた描写もあったので、宇宙人のひとりってことなんでしょうか。
ただ、そうするとニューヨークに同僚(つまり宇宙人?)がいるのがおかしくなりますよね・・・?(太陽の異常活動に巻き込まれたはずのニューヨークが無事なのも十分おかしいですが)
アイは精神だけのような描写もあったので、幽霊のように自由に円盤内を移動可能だったんでしょうかね。
わかりませんが、そんなアイと渡り合える存在であろう、未来から何かを伝えようとしている側のほうも気になりました。(ここまでは具体的に触れていなかったはず・・・)
番匠谷教授はそれっぽいですけど、元人間なのでどうなのかなって感じです。
実は選ばれし者で人間にまぎれていた・・・みたいな感じなんですかね?
前半は微妙だけど後半だんだん面白くなってきた、というのが第五章の正直な感想になります。
第六章 襲撃
第六章は、よくわからない集団がよくわからないことをやっているところから始まり、そのなかには「N」と呼ばれている者もいます。
そのほか、時空間渦動なるものによってさまざまなものが出現したり消えたりする奇妙な現象について書かれていました。
次に、円盤に乗っていたひとりである松浦という男が、ドアのない正立方体の中から叫んでいる場面に切り替わります。
どうやら着陸後にバラバラに奇妙な検査を受けさせられ、その後に飲んだ飲み物で意識を失ってしまい、目が覚めたら閉じ込められていたという状況のようでした。
さらに、部屋全体が縮み始めてつぶされそうになるのですが、再び気を失って目を覚ますと今度は外に出ているのでした。
近づいてきた謎の男との会話も含めて、松浦は壁をすり抜けたのだと察します。
その後も、
- 壁をすり抜けてからの松浦は透視能力も身につけていたこと
- 現在の建物がとてつもなく巨大だということ
- 宇宙人の正体が有機系ロボットだったこと
などが判明していくのですが、突然壁に亀裂が入り、何者かによって建物ごと攻撃されます。
再び場面が変わって、Nがニューヨークでサムを襲撃?したり、空の円盤から反撃をくらったり・・・
とにかくゴチャゴチャとしているのですが、ニューヨークとは別に攻撃された松浦は何者かによって助けられます。
それから、松浦は透視能力を使って25世紀の火星の建物を見ることになります。
同時に、21世紀で滅びたはずの地球の25世紀の姿を見ることになるのですが、宇宙人の声で君たちの地球ではないことを告げられました。
さらに、攻撃によってロボットの肉体を失った宇宙人の本体(精神?)と松浦は融合していくことになります。
複雑すぎてもうよくわからない・・・
上で一応ザックリ説明していますが、書いている自分でもよくわからなくなってきました・・・。
場面転換が多いですし、Nたちの行動は何をしようとしているのかうまく伝わってこないですし、松浦のほうもいろいろなことが起きすぎていますし・・・
今まではアイとかNとかの話はよくわからなくて流し読みしていたのですが、今回は本筋?であろう松浦の周りでもいろいろありすぎてわからなくなりました。
ただ、Nは野々村以外に考えられないですよね?
なんとなくですけど、宇宙人たちは能力を覚醒させようとしていて、それをNたちが止めようとしている?ってのは対立の様子から伝わってきました。
宇宙人が地球人の能力を覚醒させる流れは「幼年期の終り」っぽさを感じました。幼年期の終りについては過去に記事にしてありますので、よかったら見ていってくださいね。
ちなみに、第五章の最後で書かれた過去の地球?に取り残された人たち(リックとか)の続きについては書かれていなくて少し残念でしたね。
第七章 狩人たち
第七章は冥王星の衛星上から始まり、I・マツラという2つの意識をもつ男も登場します。
彼が誰かを探している描写と同時に、
- 何事もなかった地球(第三章の舞台だった、第四章よりも未来の地球?)
- 滅びてしまった地球(第四章で火星ごと滅びた地球?)
という、2つの世界の存在が示唆されていました。
その後、短いですが、戦時中っぽい場面に移って野々村の名前が呼ばれる描写がありましたね。
さらに場面が移り、Nが恐竜の時代で人間の男と出会い、武器などを奪い取ります。
それから、Nは洞窟で何かの機械を直そうとしている時に、なぜか洞窟内の壁にあった金色の電話が鳴ったため、電話に出てから適当に会話を終えます。(プロローグとつながった)
いったんI・マツラの視点に戻ると、彼の探している人物がサムを襲撃した者だとわかりました。
再びNの視点に戻ると、彼はタイムマシン?っぽい乗り物から降りて、いつなのかもどこなのかもわからない自然の中を進んでいました。
しばらくして、肌が黒い者たちに半分襲われる形で出会うと、連れていかれた先でNの仲間らしき人物と再会します。
会話を通して、現在地が紀元前100から200年ごろの日本だということも明かされるのでした。
またもやI・マツラの視点に戻ると、逆行宇宙なるものについて書かれていました。
- 生成は消滅
- 膨張は収縮
のように対応している、すべてが対となる宇宙のようです。
最後に、探しているであろう人物が見つかったというところで話は終わりました。
少しずつだけど構図がわかってきた
まず、Nは野々村で確定っぽく、松浦と融合した宇宙人の正体も名前からしてアイですよね。
アイ含めた宇宙人は超人的な能力を覚醒させるために動いていて、アイ自身は融合後のI・マツラとして同僚だったサムの復讐?を考えている感じでしょうか。
Nのいる組織は、第六章でアイとサムを消す任務にあたっていたようですが・・・その背景とかはよくわかりませんでした。
宇宙人の目的は能力を覚醒させることだと思っていましたけど、ちょっと違う気もするんですよね。
あまり触れてきませんでしたが、
- 普通の人間が「第三階梯」
- 能力を覚醒した松浦は「第四階梯」
って呼ばれているようなんですけど、アイはもっと上の階梯らしく、しかもアイが目的の人物を探す際には第五階梯の存在も使っていました。
そうなると、わざわざ手間をかけて第三階梯を第四階梯にしたところで・・・ってなりません?
構図はわかってきたけど、全体像はよくわからないままの第七章でした。
第八章 追跡
太陽が巨大化した時代の、齧歯人が住んでいる地球をI・マツラが訪れたところから第八章は始まりました。
そこで、齧歯人とは違うワゴオという男を呼びつけ、知っていることを報告させます。
会話を通して、
- ワゴオは第四階梯だったが、今は望んでもいない齧歯人などの監視をさせられていること
- はるか上の階梯であるアイも、さらに上の存在に支配されていること
- ワゴオのかつての同僚は、実は恐竜の時代にNが出会った男で、死因は殺されたこと
などが明かされました。
その後、過去の日本で何かの作業中のNに場面は移るのですが、Nは白亜紀で一人殺したことを仲間に告げます。
それからの会話で、
- 古墳の2つ目の羨道の先にはクロニアムがあること
- クロニアムは通信機にも使えること
などがわかるとともに、Nの口から大泉教授の名前が出てきます。
場面が変わると、マツラが時空間に網?を仕掛けている描写がされていました。
また、リックたちがネアンデルタール人に奴隷のように扱われているのを誤報として処理し、「松浦」と名前を呼ばれても無視しました。
その後、三世紀の日本から電波信号らしきものが発生していたという報告をマツラは聞きます。
第五章での続きがついでのような扱いでビビった
第五章の最後、過去の地球らしき世界で巨大サル(ネアンデルタール人だった)に襲われたあとの続きですね。
戦いがあったような描写はいっさいなく、ついでのように語られていたのは正直ビビりました・・・。
上でベタな展開だと書きましたが、むしろ斬新な展開でした。
一応は武器を持っていて、人数もそれなりにいたはずなんですけど、助からなかったんでしょうか?
最後まで登場することなく終わったら、救いがない話ですね・・・。
具体的にどんなことをやっているのか、何がしたいのか、よくわからない部分も多かった
個人的に、
- Nたちの作業の様子や目的
- マツラのやっている捜索の様子
あたりがうまく読み取れませんでした。
過去の日本で、Nは仲間と何かの作業をしていることはわかったのですが、具体的に何をしているのかとか、目的とかが読み取れなかったです。
ただ、第一章で登場した奇妙な古墳に時間を超えてつながっていることは感じられました。
マツラのほうは、時空間に網を仕掛けているところとかよくわからなかったですね。
ただでさえ想像しにくい場面なのにもかかわらず、フワフワとした描写が多くてわかりにくい気がしました・・・。
第九章 狩りの終末
大化の改新あたりの時代の日本で、野々村が仲間たちと会話をしているところから第九章は始まります。
会話を通して、
- 野々村たちは超人ではなく人間であること
- 未来の知識や技術を過去の人々に与えようとしていること
- 過去の地層からありえないものが見つかったのは、野々村たちのリーダーらしき人物(ルキッフ)がやっていたっぽい
などがわかりました。
さらに、野々村が現代日本?から消えたのは本人にとっては数年前だったことや、記憶のなかの時間と実際の時間は違うといったことも書かれていました。
その後、マツラの仲間らしき追手が迫ってきて、ルキッフはすでに捕まえたことを告げてくるのですが、無視して時間を飛びます。
そのあとは武士の時代で逃げる野々村たちを再び追い詰めるのですが、おとりの?仲間ひとりの死体があるだけで、野々村はいませんでした。
舞台は未来の時代の地球人が開発した太陽系外惑星に移ります。
時間旅行は超越者なる存在によって厳しく制限されているものの、なかには自由を求める者たちの集まりもあるようでした。
そこにノアヴィルという人物が登場するのですが、彼の話では農耕といった概念は未来人によって伝えられたという話が出てきます。
さらに、未来のものを過去に送っている同志もすでにいるという話もしていました。
しかし、話の途中で追手が来ます。
ノアヴィルに対して「野々村」と呼びかけて追い詰めるのですが、時間機というタイムマシンのようなものを3台同時に作動させてどこかへ消えるのでした。
いろいろと先が読めないし、難しかった
まず、最後に野々村が消えた先ですね。
最後はアイ?の精神が野々村を追いかけようとしているところで終わるのですが、これからどうなっていくのかまったく読めませんでした。
あと気になったのは、現在の世界はすでに未来人の手を借りて(農耕とか)成り立っているっぽい話ですね。
野々村たちは同じようなことを繰り返そうとしているようですが、
- 繰り返した先に何が待っているのかとか
- 元の世界はどうなるのかとか
- 前に出てきた逆行宇宙とは関係があるのかとか
書いていないからか、うまく読み取れていないだけなのか、とにかく気になる要素がたくさんありました。
第十章 果しなき流れの果
未来へと飛ばされていることを理解していた野々村ですが、時間旅行者は決して越えられないと言われている壁を突破します。
そこでは過去や未来という概念は意味をもっておらず、野々村には意識だけが残されているのでした。
野々村のいる場所では、
- 過去と未来の時間軸を一次元
- 時間軸に直行するように二次元平面を考えると、その平面上にはすべてのパラレルワールドが含まれる
- さらに三次元座標に拡張すると、すべてのパラレルワールドを見られる視点がある
といったことが理解できるのでした。
さらに、ルキッフや番匠谷教授の存在だったり、星の進化を管理している存在、野々村が今いる「場」をも超えるものがあると感じ取ります。
その後、知りすぎた野々村は個として存在することは許されず、アイによって意識が吸収されました。
そこで松浦と野々村は親子だと判明するのですが、影響を受けたように、アイはさらに上へと向かって進みます。
途中、宇宙の概念のようなものに制止されます。
それでも無視して進み続けるのですが、やがて燃え尽き、アイとしての存在は終わりを迎えるのでした。
抽象的かつ難解すぎてわからなかった
時間の概念や宇宙の秩序とかですね。
上で書いたこと以上にいろいろ書かれていたのですが、正直私にはよくわかりませんでした。
第十章は答え合わせのような章なんでしょうけど、抽象的だったり難しかったりで結局モヤモヤしたままです。
難しいしよくわからない、というのが正直な感想でしたね。
本当に親子なのか?
松浦と野々村って、本当に親子なんでしょうかね・・・ずっと引っかかっています。
松浦が登場したのは21世紀のなかばくらいで、野々村と親しかった佐世子が80すぎくらいで亡くなったのが2018年・・・
やっぱりおかしくないですかね?(野々村に別の女性がいたというのも考えがたい)
読み取れていないだけなのかわかりませんが、ここはやっぱり納得できなかったです。
エピローグ(その1)
アルプスで遭難していた謎の東洋人が、スイスの病院で約50年越しに目を覚まします。
彼は記憶喪失だったものの、日本に帰ることを決めました。
その後、何かにひかれるように移動していった先でひとりの老婆と出会います。
野々村の名前を呼ばれても覚えていない様子の男でしたが、老婆の家で、長い眠りのなかで見た夢の話を語り始めたところで結末を迎えました。
きれいな終わり方だと思った
謎が多すぎたためか、エピローグ(その2)ではあまり集中して読めませんでした。
しかし、後のほうのエピローグ(その1)ではきれいな終わり方だと思いましたね。
自分が読み取れていないだけかもしれませんが、気になるところや謎が残りつつも、締めはよかったです。
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございます。
個人的に読みづらく、しかも400ページを超えていてなかなか大変でしたが、読みごたえのある作品でした。
ネタバレを知っていても細かい部分で気づきがあったり、何度でも楽しめる作品となっていますので、ぜひ一度読んでみてください。
ただやっぱり、俗な私にはライトノベルとかのほうが合っていますね。
それでも、気になった作品は今後も読んでみて、感想などをブログに書いていこうと思いました。
ライトノベルで私が一番好きな作品「ブラック・ブレット」についての記事だったり、途中で名前を出した幼年期の終りと同じ著者の作品「2001年宇宙の旅」についての記事も過去に書いてあります。
よかったらあわせて見ていってくださいね。
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
コメント
はじめまして。
『果てしなき流れの果に』の感想を読ませていただきました。
私もずいぶん昔に一度読んだきりでしたが、凄い話だと思って印象に残ってます。
読みながらこれだけの文章を書けるのは凄いですね。
私も読んでいた当時は難解すぎてこれは今どうなってんだ、と思ったことが思い出されました笑。でもこの小説終わりが物悲しくて野々村と佐世子の純愛が美しくて好きです。
すいません、一つ気になったところがあったのでコメントさせていただきました。
「松浦と野々村が親子なのか」というところなのですが。
おそらく野々村が、松浦の子どもだと思われます。
確か、松浦がエルマ?(名前間違ってたらすいません)と宇宙船の中で子供を作ってしまい、エルマは妊娠したために実験を受けずに済んだというような描写があった(かな?)と思います。
その後、エルマと松浦の親友?だったかが、子供を戦時中の日本に置いていったような描写があったと思うので、それが野々村だと思われます。
なので野々村は未来で生まれ、過去に逃がされた松浦とエルマの子どもかと思います。多分。
今原作が手元にないので確かめずに書いてますが、間違ってたらすいません。
たかいこさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
私も、すごく印象に残る小説だと思いました。
うまいこと要約などできていましたかね?理解をするうえでアウトプットが大事というのをどこかで見た記憶があり、ちょうどブログというものをやっていたため、読んだ本は自分の言葉で紹介しようという試みをしていました。難解かつ複雑な内容ということもあって、すごく長ったらしくなっていますが・・・
親子関係についてはそっちでしたか。野々村が親だとどうしてもつじつまが合わないと思っていたら、松浦が親だったんですね。時間を移動する作品において先の時代に生まれた野々村が親だと思い込んでいたのは、今思えばすっかりやられていました・・・。
また機会があればもう少し柔軟な思考で読んでみます。コメントありがとうございました!
ネガシ様
返信ありがとうございます。
ブログの感想はとても臨場感があって良かったと思います。
私も小説を読んでいた時の困惑を思い出して懐かしくなりました。
野々村と松浦の父と子という表記を最初読んでいた時、一瞬よくわからなくて「え?」と思いましたから分かります。
ネガシさんの「すっかりやられていた」という声を小松左京先生が聞いたら喜んだかもしれませんね笑
この「果てしなき流れの果に」は好きな小説だったので、ブログで率直な感想をのせてくれて嬉しかったです。
お忙しい中、丁寧な返信を下さり、また楽しい時間を下さってこちらこそありがとうございました!